解説
【版を作らず、生地に直接インクを吹き付ける。写真やグラデーションもそのままの美しさ!】
インクジェットプリントは、専用のガーメントプリンター(GTXなど)を使用し、Tシャツやバッグの生地へ直接インクを塗布して熱定着させるデジタルプリント技術です。
紙に印刷するプリンター同様に、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色を掛け合わせてフルカラーを表現します。そのため色数に制限がなく、写真データや繊細なグラデーション、多色使いのイラストも、データの通りに忠実に再現します。
【シルクスクリーンプリントとの決定的な違い】
最大の違いは「版の有無」と「手触り」です。
色ごとに版を作成するシルクスクリーンとは異なり、デジタルデータから直接出力するため、製版コストが一切かかりません。1枚だけの試作や、ユニフォームの背ネームのように1枚ごとに内容が異なるデザインでも、コストを抑えてスピーディーに製作できます。
また、生地の上にインクが乗るシルクスクリーンに対し、インクジェットは繊維に染み込むように着色するため、プリント特有の厚みが出ず自然な仕上がりになります。
【インクジェットプリントのメリット】
インクの層が極めて薄く、生地の織り目を塞ぎません。プリント部分がゴワついたり、汗で蒸れたりすることが少なく、ウェア本来の通気性と柔らかさを損なわないのが大きな特長です。
写真や水彩画のような淡いタッチ、複雑なグラフィックアートも得意とします。色数を気にしてデザインを簡略化する必要がないため、クリエイターの作品や記念写真のプリントに最適です。
製版工程をカットできるため、注文から納品までのリードタイムを大幅に短縮できます。「イベント用に急ぎで10枚だけ欲しい」といったニーズにも柔軟に対応します。
【知っておきたい特徴と注意点】
インクの特性上、綿100%、または綿50%以上の混紡素材に適しています。ポリエステル100%のドライ素材やナイロン製品には、インクが定着しにくいため加工できません。
他メーカーDTGと比較すると、ベタ色が多いデザインなどに向いています。
インクジェットプリント(GTX)では白インクを使用せず、生地の地色(白)をデザインの「白」として利用します(透過扱いとなります)。
そのため、生成りやパステルカラーなどの淡色ボディにプリントする場合、インクの色と生地の色が混ざり合い、データ上の色よりも少し沈んだ(暗くなった)色味に仕上がります。
この「染み込み感」をヴィンテージ風の味としての風合いが人気ではある一方で、データ通りの鮮やかな発色を求める場合は、ホワイトボディへのプリントを推奨します。






