解説
【着込むほどに味が出る。生地と一体化するヴィンテージな風合い】
版(スクリーン)を使用して、サラサラとした水性の顔料インクを生地の繊維の奥まで浸透させるプリント技法です。
インクが生地の上に「乗る」のではなく、繊維そのものを「染める」イメージに近いため、プリント部分に厚みが一切出ません。
まるで最初から柄が入っていたかのように生地と一体化し、使い込むほどに色が馴染んでいく、独特のヴィンテージ感を楽しめます。
【ラバーインクとの決定的な違い】
最大の違いは「手触り」と「発色の仕組み」です。
一般的なラバーインクが生地の表面をゴムの膜で覆うのに対し、染み込みプリントはインクが繊維の中に沈み込みます。
そのため、プリント部分を触っても凹凸やゴワつきが全くなく、生地本来の柔らかさと通気性をそのまま維持します。
汗をかいてもプリント部分が張り付かないため、着心地を重視するインナーウェアなどにも最適です。
【染み込みプリントのメリット】
- 究極の柔らかさと通気性
インクによる目詰まりがないため、風通しが良く、Tシャツの生地感を損ないません。夏場の暑い時期や、肌触りに敏感な方でもストレスなく着用できます。
- 古着のような経年変化(エイジング)
洗濯を繰り返すことで、インクが少しずつ繊維に馴染み、表面がわずかに毛羽立ってきます。これが絶妙な「掠れ(かすれ)」や風合いとなり、新品の時よりも味わい深い、一点モノのような表情へと育っていきます。アメカジファッションや古着スタイルとの相性は抜群です。
【知っておきたい特徴(生地色との関係)】
- 生地の色とインクが混ざり合う
隠蔽性(下地を隠す力)がないため、インクの色は生地の色の影響をダイレクトに受けます。
例えば、白い生地に赤を刷ればそのまま「赤」になりますが、赤い生地に白を刷ると下地が透けて「ピンク」に見えたり、黒い生地に白を刷ると「グレー」に見えたりします。
このため、基本的に「白」または「淡い色(オートミールやライトグレーなど)」の生地へのプリントが推奨されます。
濃色ボディに対してあえて沈んだ色味を狙う上級者向けの使い方も可能ですが、パキッとした発色は期待できません。
- 素材は「綿」に限定
水性インクを吸い込ませる必要があるため、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維には定着しません。綿100%、または綿の比率が高い混紡素材専用の加工となります。
【こんなグッズ作成におすすめ】
- アメカジ・ヴィンテージ風Tシャツ: 新品でもこなれた雰囲気を出したい場合
- ルームウェア・インナー: プリントの感触を肌に感じさせたくないアイテム
- 薄手の素材: 生地のドレープ感(落ち感)を崩さずにプリントしたい場合






