解説
【糸の光沢が織りなす高級感。耐久性に優れた「王道」のマーキング】
専用の「パンチデータ(型データ)」を作成し、生地に直接デザインを縫い込む、最も一般的な刺繍加工です。
インクによるプリントとは異なり、糸そのものが持つ光沢と物理的な厚みが、平面的なデザインに「重厚感」と「高級感」を与えます。
企業のユニフォームやブランドアパレルにおいて、その高級感から広く定着している手法です。
【なぜ量産向けなのか?】
最初にデザインの設計図となる「パンチデータ」を作成する必要があります。この初期費用(版代のようなもの)がかかりますが、一度データを作れば同じクオリティで高速に連続加工ができるため、枚数が多い量産案件であるほど1枚あたりのコストが割安になります。
【名入れ・ロゴ刺繍のメリット】
- 圧倒的な耐久性
生地にしっかりと縫い付けられているため、洗濯耐性が非常に強く、ハードな使用環境でもプリントのように剥がれたり、ひび割れたりする心配がありません。
- 物理的な立体感と高級感
インクでは表現できない「糸の盛り上がり」が、商品に明確な価値を与えます。光の当たり方で表情が変わる糸の光沢も魅力です。
【知っておきたい注意点(表現と素材)】
- グラデーションは不可
色数の制限内で糸を切り替えて表現します。デジタル印刷のような滑らかな色の変化(グラデーション)は表現できません。
- 薄い生地・ストレッチ素材は苦手
針と糸が通る素材(綿、ポリエステル、ナイロン等)であれば加工可能ですが、生地が薄すぎたり伸縮性が強すぎたりすると、糸の張力に負けて刺繍の周りにシワ(パッカリング)が発生しやすくなります。
- 裏側の仕上がり(芯地とあて布)
刺繍を綺麗に仕上げるため、裏側には必ず「芯地(安定紙)」と呼ばれる不織布と、下糸が残ります。直接肌に触れるとチクチクする場合があるため、ベビー服などでは仕上げに「あて布」を貼る後処理を行うこともあります。
【こんなグッズ作成におすすめ】
- 企業ユニフォーム・作業着: 社名や個人名を入れて信頼感をアップ
- ポロシャツ・Tシャツ: 胸元のワンポイントロゴでブランド感を演出
- エプロン・帽子: 耐久性が求められるワークアイテム






