解説
【「点」の大小で濃淡を描く。1色でもグラデーションを表現する技術】
通常、シルクスクリーン印刷は「ベタ塗り(インクが乗るか乗らないか)」しかできませんが、デザインを微細な「点(ドット)」の集まりに変換・分解することで、色の濃さ(階調)を表現する手法です。
新聞の写真のように、点の密度や大きさを変えることで、人間の目にはグラデーションや写真のような滑らかな陰影として認識されます。
【どんなことができるのか?】
- 1色での濃淡表現(ハーフトーン)
例えば黒インク1色だけでも、点を小さくまばらにすれば「グレー」に見え、大きく密集させれば「濃い黒」に見えます。これにより、版(色数)を増やさずに立体感のあるデザインが可能になります。
【網点のメリット】
- シルクスクリーンの耐久性でグラデーションを実現
通常、滑らかなグラデーションはインクジェットが得意な領域ですが、網点を使えば、耐久性と発色に優れた「シルクスクリーンのインク」を使って濃淡を表現できます。洗濯に強く、長持ちするフォトTシャツが作れます。
- コストパフォーマンスが高い
インクの色を変えずに濃淡をつけるため、1版(1色分)のコストだけで、まるで多色刷りのような奥行きのあるリッチなデザインが作れます。
【知っておきたい注意点(仕上がり)】
- 近くで見ると「点」が見える
あくまで点の集合体であるため、顔を近づけてよく見るとドットが見えます。デジタル写真のようなツルッとした高精細さではなく、アメコミや古い新聞のような、少し荒くてレトロな味のある仕上がりになります。
- 細かさに限界がある
版のメッシュ(網目)を通す必要があるため、紙へのオフセット印刷ほど極小の点は表現できません。
【こんなグッズ作成におすすめ】
- フォトTシャツ(モノクロ): 人物写真や風景を、クールでヴィンテージ感のある単色プリントに
- レトロなアメコミ風デザイン: あえて大きめのドット(ハーフトーン)を目立たせたポップな表現
- 予算を抑えたい凝ったデザイン: 1色プリントの価格で、ベタ塗りにはない立体感を出したい場合






