解説
【熱で固まり、艶やかに輝くタフなインク】
版(スクリーン)を使用し、石油を主成分とした油性インクを刷り込むプリント技法です。
水性インクのように自然乾燥することはなく、高温の熱処理を加えることで溶けて固まり、生地の表面に強靭な皮膜を形成します。厚みのある質感と美しい光沢(ツヤ)は、Tシャツ好きを唸らせる「本物の質感」を持っています。
【水性インクとの違い】
最大の違いは「接着の仕組み」と「対応素材の広さ」です。
水性インクが水分を蒸発させて樹脂が定着するのに対し、油性インクは樹脂そのものが熱で溶けて生地に食いつきます。
この特性により、水性インクでは弾いてしまい定着が難しかったナイロンジャケットや、ポリエステルのスポーツウェアに対しても、強力に密着します。また、仕上がりの表面には油性特有の艶があり、マットな水性インクよりも高級感やインダストリアルな雰囲気を演出します。
【油性インクのメリット】
- 濃色ボディでも「一発」で鮮やか
インクの隠蔽性(下地を隠す力)が非常に高く、生地の上にどっしりと乗ります。そのため、黒や赤といった濃い色の生地であっても、下地用の白インクを引くことなく、1回のプリントでパキッとした鮮やかな発色を実現します。
- 素材を選ばない万能な定着力
綿素材はもちろん、表面がツルツルしたナイロン素材や、伸縮性のあるポリエステル素材など、幅広いアイテムにプリント可能です。ウィンドブレーカーとTシャツで同じデザインを刷りたい場合など、素材が混在するオーダーでも活躍します。
- 経年劣化に強い耐久性
形成されたインクの膜は非常に丈夫で、繰り返しの洗濯や摩擦に対しても高い耐久性を誇ります。色が薄くなったり剥がれたりしにくく、長期間にわたってプリントの美しさを維持します。
【知っておきたい特徴(コストと質感)】
- 色は「特色」指定、版が必要
ラバーインクと同様に、職人がインクを練り合わせて色を作る「特色」が基本です。CMYKのような掛け合わせではないため、使用する色の数だけ「版」を作成する必要があります。
- しっかりとした「乗っている感」
インクが生地に染み込まず表面で固まるため、プリント部分にはステッカーのような厚みと、少しペタッとした手触りがあります。通気性はないため、背中全面などの広範囲なベタ塗りデザインの場合は、夏場に少し蒸れを感じる可能性があります。
こんなグッズ作成におすすめ
- ナイロンジャケット・ブルゾン: 水性では難しいアウターへのロゴ入れ
- US古着風のTシャツ: 油性インク特有の、厚みとツヤのあるプリント表現
- スポーツユニフォーム: 濃色ポリエステル生地にも、下地なしで鮮明に発色






